ボルゾイの絵本

次の日の朝、本番の様に衣装を着て、リハーサルを行ないました。みんなお祭りのシーンが気に入っていました。歌手は歌い、曲芸師はその後ろを宙返りしたりくるくる回り、綱渡りはぐらぐらしながら綱をわたり、操り人形は専用の小さなステージ上で演じます。

サムさんは明るい色の衣装でスラーゴをぴったり横につけての出番です。スラッゴはとんがり帽子をかぶって、後ろ足で立って歩きました!しかもジャンプして輪をくぐりました。パーシャはあきれてしまいました。

ボルゾイの絵本

次にマノンが「ザ・ガボット」という楽曲を歌いました。彼女の歌声は、パーシャがいままで聞いた中で一番きれいでした。でもそんなことはかまいませんでした。パーシャにとっては、観客の目はまばゆいほどのネックレスをつけたグラマラスなウルフハウンドのパーシャしかとらえていない様に感じました。

その夜、パーシャはすてきな夢を見ました。彼女はメトロポリタン・オペラ・ハウスのステージに、赤いドレスを着て歌っていました。彼女は歌姫です!観客はみんな拍手をして声援を送っていました。「上手!パーシャ、素敵!」

ボルゾイの絵本

ついに初日の日がきました。シャーレーとパーシャはステージ上を歩きます。指揮者がバトンを高く上げ、オーケストラが演奏し始めました。大きな金色のカーテンが大きく揺れて開きました。観客が拍手喝采して、パーシャは興奮してゾクゾクしました。マノンはリハーサルの時よりもずっと大きな声で、今までで一番上手に歌いました。観客からは「ブラボー」と、さらに拍手がおきました。

マノンが舞踊音楽「ガヴォット」を歌い始めました。彼女は歌いました。「皇族のように道を歩くと、美しい私を、みんな見るわ。私はこの美のおかげで皇女のような気分だわ」パーシャは思いました。違うわ。私が皇女で、みんなは私のことを見ているのよ。

パーシャはマノンの歌に沿って、鼻歌を歌い始めました。始めは小さい声で、でも次第に、ウ〜〜〜フ〜〜〜。ワァ〜〜〜フ〜〜〜ウ〜〜〜ウ〜〜〜フ〜〜〜〜と歌い始めました。

ボルゾイの絵本

シャーレーがパーシャの綱を少し引っ張りました。指揮者が顔を上げました。パーシャは観客のうちの何人かがくすくす笑っているのを聞いて、興奮して思いました、この前の夢みたい。

パーシャはさらに大きな声で歌いました。ワ〜〜〜フ〜〜〜。ワ〜〜〜フ〜〜〜ウ〜〜〜ウ〜〜〜フ〜〜〜ウ〜〜〜〜〜〜。

パーシャが大きな声で歌うと、観客も大きな声でケラケラ笑いました。みんな私のことが好きなんだ!と、パーシャは思いました。歌姫って、最高!パーシャの声とマノンの声とメトロポリタン・オペラ・ハウスのすばらしいオーケストラの音とが調和しています。拍手の途中で、パーシャがお辞儀をするのも待たずにシャーレーが綱をひっぱってステージから下ろしました。

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裏方さんはみんな笑っていました。シャレーもくすくす笑っていましたが、パーシャに対して腹を立てていました。パーシャのすぐそばにひざまついて、パーシャの目をまっすぐ見て言いました。「パーシャ、犬はどんなときも、絶対に、絶対に、オペラで歌ってはいけません。」

ディレクターは笑っていません。彼はパーシャをもうオペラに出さないで欲しいとシャーレーに言いました。

衣装係の女の人に、きらきら光るネックレスも取り上げられてしまいました。

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